もう随分前のことですが、図書館で借りて読み、大のお気に入りになった本です。
図書館に返却した後改めて本屋で購入し、何度も読み返したり、手元に置いて表紙を眺めたりしていました。
引っ越しのどさくさに紛れて失くしてしまった後、またどうしても読みたくなり、再度ネットで購入もしました。
よって、今手元にあるこの本は、3冊目ということになります。(ということで、写真の本はボロボロなのです)
この本は、恐らくアメリカが一番イケイケだった時代、「大きければ大きいほどいい」「多ければ多いほどいい」「より高いもの、より贅沢なもの」という風潮の真っ只中に暮らしていた作者が、ある日ふと「これ以上人生を複雑にしたくない」と思い立つところから始まります。
その後、作者はすぐさま「人生シンプル化計画」に取り掛かり、それはこれまでの生活をガラリと変えました。
その、彼女(たち)が行った一つ一つをまとめたのが、この「人生を複雑にしない100の方法」です。
今読み返してみると、この時代の言う「シンプル化」に、現代社会がかなり近づいていることがわかります。
例えば買い物。「あちこち渡り歩いて買い物をするよりも、一か所でまとめ買いしましょう」との項目がありますが、現代ではそもそもネットで買い物が済んでしまう時代。
また、「ドライクリーニングが必要で管理に手のかかるブランド服よりも、家で洗えるシンプルな服装」。これも、今や普通の感覚です。
「キャッチホンをやめる」、「クリスマスカード(日本で言えば年賀状?)は出さない」もそうですね。
しかし、逆にこの時代ではやめようと決めればやめられたことで、現代では完全にやめるのは難しいと思われる項目もあります。例えば「電話に出ない」がそうでしょうか。
現代では「電話」というよりも「メール」、「LINE」になると思いますが、これは履歴が残るため、完全に無視することは難しい、という方もいるかもしれません。
けれども、この本の根底に流れている「人生をシンプルに」という考え方は、現代の私たちにも大きく響いてくると思います。
それは言わば、「人生を自分自身の手に取り戻す」ということに他ならないからです。
世間に合わせ、誰かと張り合い、世の中で良しとされる生き方に近づくためにあくせくする生き方。
その無意味さに気づき、自分の本当に求めること、心地よいと感じる人生を考えてみる、というのは素晴らしいことですよね。
この本には、タイトル通り100にも渡る方法が紹介されています。目次を見るだけで楽しいです。
項目ごとに書かれているエッセイも素敵で、読んでいるとワクワクします。
一つ一つ項目が進み、読み終わるのが残念な気もしてくるほど。
すでに幾つか出ましたが、今回は特に私が気に入った箇所をピックアップしてご紹介します。
全ての項目が素晴らしいので、興味のある方は是非、通しで読んでいただきたいおススメの一冊です。
・テレビを見ない
この時代の調査によれば、アメリカの平均家庭の一日のテレビ視聴時間は約7時間だったそうです。
作者は言います。
「お気に入りのホームドラマの主人公たちの人生が、あなたの人生の参考になったことがあるでしょうか? 繰り返される犯罪シーン、暴力シーンがあなたの心の平静に役立ったことがあるでしょうか?」
また、テレビコマーシャルの圧倒的な影響力についても触れています。
近代的広告は確かに脅迫的とも言えますよね。
キレイでなければならない、おしゃれでなければならない、細くなければならない、セレブの生活に近づかなければならない…etc.
そうして私たちは限りなく欲望を刺激され続けます。
現代ではテレビを見る人はかなり減ったと言われていますが、その分YouTubeなどのSNSに流れていると思われます。
ただ、こちらは広告をスキップ出来たり、見るものを選べたりする分マシかもしれませんね。
・職住接近を実現する
作者の夫は都心の職場に通うため、郊外にある家から毎日電車で2時間、往復で4時間以上もの時間をかけて通っていました。
彼らは職住接近を実現するための土地を探し、そこに移り住みます。
結果、出世からは遠くなったものの、毎朝海辺を散歩してからゆっくりと朝食をとり、始業の15分前までに出れば間に合う生活が実現しました。
夕方は必ず5時半には戻り、夕食前に一緒にボートを漕いだり夕陽を眺めたり、本を読んだりして静かに過ごすことが可能になったのです。
・週一回は九時前に寝る
作者たちは、金曜を「九時前に寝る日」に定めています。
これにより忙しい1週間を満ち足りた思いで終えることが出来、翌日からの楽しい週末を絶好のコンディションで迎えることが出来るのだそうです。
これは各人の好みで、週の何曜日に設定しても良いのだそうです。
そう言えば昔私の友人が、水曜日を「早く寝る日」に定めていたのを思い出しました。
彼女は、週の真ん中にたっぷり休息をとることで、忙しい平日を乗り切ることが出来るのだ、と言っていました。
・つけ爪をはずし、爪磨きを捨てる
80年代にもピカピカであざやかなつけ爪ブームがあったようです。
ハイテク時代の「成功する服装術」で流行したのだと作者は言います。
現代社会においても、進化したネイルやつけ爪は再び流行していますよね。
誤解のないように。お洒落を楽しむことは、とてもいいことです。ただし、それが「皆そうしているから」「これが流行っているからやらなければならない」という理由でなければ、です。
面倒で時間がかかることを、誰かに合わせるためだけに行うのは、人生を無駄にすること。
短くきれいに切りそろえられた元の爪のシンプルな美しさを思い出してみましょう。
・ノーといいなさい
作者が生活をシンプルにすると決めた時、自分に約束したことの一つに「近親者以外や友人以外との付き合いを減らすこと」があったそうです。
したくないことを頼まれたり、関心がわかない人たちとの夜の集まりに誘われた時は、「ありがとう、でもノーよ」、そう答えられるように、やっとなったそう。
確かに、人生をややこしくする原因の一番は人間関係です。
大切でもない人たちとの付き合いを無制限に増やし、そのリスクを増大させるのは得策ではありませんね。
・本当にやりたいことを探す
好きでない仕事や、やりたくない活動を一日8~10時間、週5~6日も続けることほど、人生を複雑にするものはありません、と作者は言います。
本当にやりたいこと。それがわかっている場合にしろ、まだわからない場合にしろ、それを実現するには長い時間がかかることが予想されます。
時にはまったくのゼロからやり直さなければならないかもしれないし、まずは調査や下見、相談、実地体験などを経て、やりたいことを探していかなければならないかもしれない。
それでも、と作者は言います。
「二年かけて自分のやりたいことを見つけ、それを実現するために生活を変えてきた私自身の経験からすれば、実現までにどんな紆余曲折があろうと、やってみる価値はあるし、長期的には必ずシンプルライフに到達できると断言できます」。
・よく笑う
笑いが体に良い影響を与えることは、現代ではだんだんと知られてきました。
ただ何となく健康になるとか言うふんわりしたことではなく、治療も緩和も困難と言われた病気を快復させるほどの効果がある、という話もよく耳にします。
では、それと人生のシンプル化にはどんな関連があるのでしょうか。
作者は言います。
「笑いはストレスを軽減し、緊張をやわらげ、怒りをしずめます。考えても見てください。ストレスの多い状況におかれたとき、不満や怒りや反発をぶつけるのではなく、笑い飛ばすことができるようになれば、どんなに人生はシンプルになるでしょうか。」
これは本当にその通りだと思います。
何事も深刻に受け止め過ぎず、「これもクリア出来るかどうかのゲームだ」ほどの感覚で生きていければ、人生における悩みなど、ほんの少ししか残らないのではと思います。
さて、どうでしょうか。
私はこの本を読んだとき、ページが進むごとに自分の心が軽くなっていくのを感じました。
日曜の午後、気持ちの良い場所でお気に入りの飲み物を飲みながら。
そんな場面が良く似合う一冊です。